
3.3航空管制用情報処理システムに関する研究
3.3.1 ATCシステムの汎用製品採用の動向について
3.3.1.1 概要
ATCシステムに、オーブンな枠組みで汎用製品を採用する動きが顕著であり、米国の動向を中心に、文献を調査した結果を整理して述べる。
3.3.1.2 オープン化の枠組み
3.3.1.2.1背景
ATCシステムの構築は、・ごく最近まで、専用のハードウェア/ソフトウェアを開発して行うのが普通であった。例えば、ソフトウェアの場合、ATCシステムのように重要な使命を持っ大規模リアルタイムシステムでは、リアルタイム性能、フォールトトレランス性及び使い勝手の面での厳しい要求に応えるため、その用途のために特別に設計されたものを用いていた。これらの、いわゆるカスタム・ソフトウェアは、高い機能・性能を実現する反面、導入及び運用コストが高いという難点があった。
これに対して、近年いわゆるOfトThe−She1f型の製品の性能が向上し、ATCシステムにもこれらを積極的に活用して、コストの低減を図る試みが広がってきた。その背景としては、
・応用ソフトウェアに対して共通のインターフェースを提供する、有力なオープンシステム標準が広く受け入れられてきた;
・異機種間接続環境のもとで、相互運用性に優れた通信プロトコルが、同様に広く受け入れられてきた;及び、
・リアルタイム性、有効性、及び共通のシステム標準及ぴ通信プロトコルとの適合性に優れ、かっ、コスト効率の高い一般市販(Comercial Off−The−Shelf:COTS)製品が多く市場に現れた、
ことが挙げられる。
3.3.1.2.2 概念、利点
前節に挙げたような背景のもと、ATCシステムの構築は、オープン化された枠組みのもとへ移行しつつある。この枠組みにおいては、各々のシステム要素は、
・異機種間接続、マルチベンダ、共通ソフトウェアプラットフォーム並びに一貫したユーザーインターフェース及びシステム管理インターフェースに適合し、かつ、
・リアルタイム性能、フォールトトレランス性及び使い勝手の面での厳しい要求に応え得る、ものを選ぶ必要がある。
一方、このようなオープン化された枠組みのもとでは、導入及び運用コストの低下に加え、システムの拡張が容易になり、また、特定のベンダに依存する割合が低下するので、システムが機能・性能要件を満たし、安心して使えるものである限り、ユーザーにとっては非常に好都合といえる。
前ページ 目次へ 次ページ
|

|